曲木技法3
曲木の続きです。
熱間曲げとは材料に熱を加え、内部組織を柔らかくして曲げる方法です。前に紹介したトーネットの曲木椅子もこの曲げ方で特許を取得しています。
方法としては、マイクロウェーブで加熱する方法、材料をお湯で煮る方法、蒸気で蒸す方法があります。
マイクロウェーブで加熱する方法は工業的な曲げに利用されています。大きな部材の加工には大掛かりな設備が必要ですが、小さな物であれば家庭の電子レンジで行う事が出来ます。材料内部の水分を加熱して曲げる為、水につけて含水率を高めておきます。何十秒か加熱し型に当て固定し、1分ほど加熱します。十分冷やした後、型からはずせば完成です。加熱しすぎるとすぐに焦げるので注意が必要です。
材料をお湯で煮る方法は、部分的な曲げや小さな部材に用いられます。材料が入る大きさの容器でお湯をわかして、煮込みます。煮込む時間は部材の厚さや曲げの形状によって変えます。厚さ10ミリ程度であれば30分も煮込めば曲がります。煮込んだら冷めないうちに素早く型に当て固定します。
この方法は簡単ですが、水に浸すので含水率が高くなり乾燥に時間がかかります。十分に乾燥しないうちに型からはずすと、スプリングバックが起こりやすく注意が必要です。
蒸気で蒸す方法は、実用性が高く最も用いられている方法です。蒸し器と同じ原理で、下でお湯を沸かし、その蒸気で蒸すという方法です。大きな部材を曲げる為には、大きな蒸し器を作る必要があり初期投資がやや掛かりますが、工房サイズの製作現場では最も導入されている曲げかたでしょう。
次回は蒸気曲げについてです。