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曲木技法1

木工の技法の中に曲木というものがあります。

 椅子の笠木やアームに使う曲がった部材が必要な場合、ひとつのかたまりから切り出す場合と、薄い板を曲げて製作する場合があります。当然、かたまりから切り出すと無駄な部分がたくさんでます。コストを抑えるという面から考えると、曲木のほうが有利です。

 曲木技法は古くからあるようで、そりやカヌーを製作するときに用いられていたようです。日本では杉で出来た“わっぱ”とよばれる容器の製作に曲げの技法が用いられています。薄く割った材料を熱湯につけ、型に当てながら丸め固定して乾燥させ、桜の皮でとじたものがよく見られる曲げわっぱです。

 オーストリアのミカエル・トーネットは曲木技法を用い、無垢材を使って曲木椅子を大量生産し広く普及しました。

トーネットの曲木椅子にはいろいろとバリエーションがありますが、NO.14と呼ばれる丸い座面が籐であまれたものが最も有名ではないでしょうか。この椅子は軽く持ち運びに便利で、曲木の背もたれ部分が軽い感じのデザインに仕上がり、当時のウィーンで流行し始めていたカフェ文化にマッチし、街の飲食店でヒットしたそうです。トーネット社以外の物も多いですし、数年前には無印良品でもトーネット社との共同デザインでブナの曲木椅子を販売するようになりましたので、目にする機会も多いと思います。

この椅子は6つの部品にわけられ、ノックダウン方式を採用する事で梱包容積を完成品の1/8に抑え、保管や輸送の効率をアップさせました。

 曲げの方法は木材に熱と水蒸気を与えて柔らかくしてから型にはめ込み、固定し乾燥させる加工法で、現在までに2億脚以上が製造されているそうです。

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