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ウインザーチェア


 今回はウインザーチェアについてです。

 ウインザーチェアは17世紀後半よりイギリスのウインザー地方で製作され始めたとされる椅子です。

特徴は厚い座板に脚と背のスピンドル、背板が直接接合されていることです。初期は背もたれが、櫛状の形をしたコムバック、18世紀後半からは、弓の形をしたボウバック型が主流となっています。1720年代にはアメリカへ渡り、アメリカンウインザーとして発展しました。日本では、松本民芸家具や飛騨産業のものが有名です。

 この椅子にもその時代背景が色濃く反映された物となっています。当時のイギリスは産業革命の進展により、都市部の人口は急増し生活に必要な椅子の需要も高まっていきました。この椅子は一人の制作者がすべて制作するのではなく、座面を作る人、ろくろで脚や背のスピンドルを作る人、そしてそれを組み立てる人と分業によって制作されています。

規格化による大量生産、つまり産業化工業化が進められていったのです。

 ウインザーチェアは濃く塗装されたものが多く残されています。一つの椅子を一種類の材種で製作せず、部分によって使い分けています。座面はお尻の形に添うように彫り込むため、掘りやすいエルム(日本の楡)、脚や背棒は力がかかるので、強く粘りのあるブナやアッシュ(トネリコ)が選択されています。材種が違うため、経年変化によって色むらがでるのを防ぐ目的で濃く着色塗装されているのです。

 写真はウインザータイプのスツールです。座面はウォルナット、脚はブナを使用し製作しています。あえて色のコントラストが強い材種を組み合わせ、塗装は着色せずクリアな植物性オイルで仕上げているので、経年変化による色の変化もさらに楽しめると思います。座面も厚板を彫り込んであるので、座り心地も快適です。

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