木の塗装
今回は塗装についてお話しします。
無垢の家具の場合、無塗装で仕上げて経年変化を楽しむことも出来ますが、防水、防汚、防腐性の向上や美観の向上のために塗装仕上げが行われます。
量販家具の場合、ウレタンやアクリルなどの合成樹脂の吹き付け塗装が一般的です。この方法だと木の表面に塗膜を形成してしまうため、木は呼吸できなくなります。つまり、空気中の水分を内部に取り込んだり吐き出したりしているということです。周りの湿度が高くなれば水分を取り込みますし、湿度が低くなれば水分を放出します。
突板を表面に張った家具は、木が動くことは少ないので合成樹脂塗装でも問題ありませんが、無垢の家具の場合は割れやヒビが生じます。
塗膜を形成しない塗装には、オイルや拭漆仕上げなどがあります。
オイル塗装は素地に油を深く浸透させ拭き上げるため、表面にはほとんど塗膜を形成しません。材料の美しさやしっとりとした木肌を表現でき、ソフトな仕上がりになります。
写真はウォルナット材にオイル塗装をする前と後です。オイルにより材は濃く濡れ色になり艶がでているのが解ると思います。
オイル塗装に限らずどんな塗装でも年とともに劣化していきます。質感を保つために1年に1度程度、メンテナンスする事をお勧めします。
オイルフィニッシュは決して強い塗装ではありません。熱いものを直接置いたり、水に濡れたまま放置した場合、シミになる可能性が有ります。
メンテナンスにはそれなりの手間がかかりますが、愛着を持って行うことでさらに深い色合いになり、木の感触を楽しみ育てていくことが出来ると思います。
つづく