椅子の修理3
前回の続きです。
木の椅子の不具合で多いのは、接合部の“きれ”によるものです。
どんなに、よく考えられ構造を工夫した家具でも、長年使用すると木である以上膨張収縮はさけられず、接合部のゆるみは起こります。
量産品の家具の多くは、ダボ接合という接合法を用いています。ダボ接合はホゾ組みに比べ加工手間がかからず、安価に商品を提供することが出来ます。市販のダボの多くはブナ材を加工したもので、溝がきってあり、組み立て時に接着剤の水分で膨張するように作られています。しかし、フレームの部材とは異なっているため、収縮、膨張の比率が異なりゆるみやすくなります。ダボを用いる場合、組み立て前にダボをよく乾燥させさらに圧縮し使用するなど対策が必要になります。
ホゾ組みの椅子とダボ組みの椅子の耐用年数は明らかに違いが有り、長く使用されるのであれば、ホゾ接合でしっかりと作られた物をお勧めします。
今回の椅子はダボと組み手が併用されており、力のかかりかたが違うので一概にはいえませんが、やはりダボ接合にきれが起こっていました。
接合部の接着剤をきれいに除去し、クランプで圧着します。組み立てにはこの圧着が大切です。
組み立て後に、割れや傷を補修していきます。割れ部分に元の部材が残っていればそのまま使用します。残っていなければ、木目の似た木を探して埋木加工を施します。木目がつながっていれば、補修跡はほとんどわかりません。その後、元の塗装と同じように補色をして色を合わせます。塗装には、元の塗装を完全に剥がして塗装し直す方法と、部分的に塗装する方法があります。今回は部分的に塗装しています。
つづく