漆塗り2
漆のつづきです。
漆にはいろいろな技法がありますが、最も手軽なのが拭き漆の技法です。漆を薄く塗っては拭き取るという行程を繰り返し行う塗りの技法で小田原漆器などが有名です。木目が透けて見え、素地の美しさが引き立つ素朴なものです。しかし素地が透けますので、素地の調整が重要です。
栗などの道管の荒い材料の場合道管部に漆がしみ込み黒くなります。目指す表現法にもよりますが、ある程度均一な色調を目指す場合は、あらかじめ目止めという作業を行います。目止めにもいろいろな方法があります。一般的なのは、砥の粉を漆に混ぜた物を塗り付け、乾燥後研ぎだす方法です。漆と砥の粉の配合率や、研ぎだしの程度によって仕上がりに差が出るので何度か挑戦して好みの表現を探る必要があります。
下地が出来たら、漆を塗っていきます。塗り付ける漆は、後から拭き取るので極少量を均一に薄くのばします。広い平面を塗る場合よくしなるへらを使うと、うまく塗る事が出来ます。
拭き漆の特徴は、漆を拭き取ることにあります。拭き取る事により薄く塗る事ができ、刷毛の跡や塗りムラが気になりません。拭き紙は毛羽立ちのない丈夫な物を使用します。
漆にもたくさんの種類がありますが、拭き漆の場合、生漆というものを使用します。生漆も国産のものと中国産のものがあり、価格に差があります。漆の成分量に差があり中国産は水分が多いように感じます。何度も塗り重ねるので、最後の仕上げには若干ツヤがでるように、伊勢早や上摺吉野などの上塗り用の漆で仕上げます。
つづく