椅子の製作工程3
座面の穴あけが完了したら、脚とスピンドル、笠木の製作に取りかかります。
笠木はもたれたときに背に当たる部分ですので、当たりが柔らかくなるようカーブを調整します。
板にカーブをつける場合、板を曲げる場合と厚めの板を削る場合があります。板を曲げるにはよく目の通った材を蒸気で蒸し上げて曲げます。常温で曲げる事ができない材料でも、高温で蒸し上げると少しの力で曲げる事ができるようになります。今回はゆるいカーブですので無垢の板を削っています。
笠木にも穴あけ加工が必要ですので、削る前に墨付けと穴あけを済ませておきます。
内側にカーブした面を削るには、通常の平鉋ではなく、反台鉋という特殊な鉋が必要になります。読んで字のごとく台がまっすぐではなく、反っています。その台の反り具合と同じアールでカーブが削れます。大まかにバンドソーで形に切り出して、鉋で仕上げます。
脚とスピンドルは丸材でテーパーがつくように加工していきます。角材から徐々に丸く加工しても良いですが、旋盤があれば容易に加工する事ができます。注意しなければいけないのは、穴に差し込む丸ほぞの部分をぴったりと仕上げる事です。穴と同じ大きさのジグを作っておき、確認しながら削っていきます。丸ほぞも乾燥すると縮みますので少しきつめに仕上げておくとちょうど良いくらいです。
脚は少し長めに作っておいて組み立て後に、がたつかないように切って調整します。
座面側は通しのくさび止めにしますので、ほぞに切れ込みを入れておきます。細い材で割れやすいのでくさびを打ち込んだときに割れないように、切れ目の底に切れ目より少しだけ大きめの穴を開けておくとよいでしょう。くさびは、同じ材料で作る事もありますし、アクセントをつけたい場合は色の違う材料を選択します。