ウインザーチェア3


ウインザーチェアはコムバック、ホイールバック等その形状から名づけられるが多く、その名前から形状を推測する事が出来ます。しかし、ウインザーのなかで所有者の名前がつけられたという珍しいケースもあります。
18世紀の詩人で劇作家オリバー・ゴールドスミス(1728-1774)が所有していたことから一般的にオリバーゴールドスミスと呼ばれているアームチェアです。ウインザーの研究者によると、この椅子には後のウインザーチェアに見られる特徴を多く含み、ウインザーの源流と捉えられているようです。
特徴はアームが3カ所で継がれている事で曲木の技術が発達する以前の椅子にはこのような“継ぎ”がみられます。また笠木から座面にかけてのV字のスポークも特徴的です。
椅子は背もたれによかった時、付け根部分にはかなりの力がかかります。その力を分散吸収する為に背もたれのスピンドルに三角構造をもたせ、強度を増しています。つまり背に対する貫の構造を形作っているのです。
写真はこの三角構造を取り入れたデザインの椅子です。座面と笠木はメイプルで、脚とスポークはブナで製作しました。背に三角構造をもたせることにより、細いスポークにすることができ、すっきりとしたデザインに仕上げました。